研究分担者 |
森 和彦 トヨタ自動車株式会社, 第1材料技術部, 担当員
宮本 泰介 トヨタ自動車株式会社, 第1材料技術部, 主担当員
毛利 尚武 豊田工業大学, 工学部, 教授 (90126186)
奥宮 正洋 豊田工業大学, 工学部, 講師 (20177182)
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研究概要 |
Al合金の表面硬化プロセスとして,絶縁性の液体中で電極は基材間に極短時間の直流アーク放電を発生させ,溶滴化した電極材料を局部的に溶融している基材表面へ移行・合金化させる放電融合(EDA)が本研究代表者らによって提案された.本研究では,Al合金基材のEDAにおける超音波振動の印加が,改質層厚さ,TiC生成量,表面粗さなどに及ぼす影響を調べることを目的とする. 改質層厚さ(d_m)はパルス幅(τ_p)の増加につれて厚くなり,超音波振動を印加することによっても増加する.特に94.2kHzの超音波振動を基材に印加した時,τ_pが短い条件でd_mが厚くなる.またX線回折の結果から,この改質層表面の構成相はAlの外,TiC,TiAl_3,Ti_2AlCなどが生成しており,超音波振動を印加すると生成TiCが増加する.改質層断面の元素分布を調べた結果,表面にはTiとCが多く,内部ほど減少している.逆にAlは内部ほど増加しており,傾斜組成層が形成されている.超音波振動を印加したものはTiとCの強度が表面で強く,より内部までその存在が認められる.硬さは表面近傍で高く,徐々に減少して基材の硬さに近づく.硬さの分布はTiとCの強度プロファイルと一致しており,生成したTiCが強化相として作用している.また超音波振動を印加したものは,生成するTiCが多いことに起因して表面近傍における硬さが増加している.τ_p=256μs,加工時間(t_w)=300sでの表面粗さは,基材に対する超音波振動印加の有無に関わらず,約50μmRzであった.表面粗さを改善するために,Ti-34mass%Alの鋳造バルク材電極を用いて2次加工(t_p=32μs,I_p=5A,t_w=900s)を行った結果,表面粗さは超音波振動とは無関係に約26μmRzに改善される.なお,この時のd_mは超音波振動の印加により46μmから39μm増加し,d_mに関しては超音波振動の効果が表れる.
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