| 研究概要 |
繊維強化材料,ポリマーアロイ,傾斜機能材料などの新素材では,材料内部の微視的構造が巨視的な機械的特性を左右する場合が多い.したがって,機能や強度の優れた材料を開発し,それらを有効利用するためには,種々の負荷の下での微視的構造の変化やそれに伴う内部損傷を正確に把握することが重要である.このような目的に対しては非破壊的な材料評価手法である超音波法が有効であると考えられるが,超音波の波形データから有意な情報を的確に抽出することは容易でなかった.
本研究では,超音波の波形データに対してウェーブレット変換による時間-周波数解析を適用することにより,材料内部の微視的構造の変化や損傷を非破壊的に評価するためのシステムを開発することを目的とした.本研究により得られた成果は以下の通りである.
(1)ウェーブレット変換を用いた弾性波動データの時間-周波数解析に関する基礎的な検討を行った.
(2)(1)の結果に基づき,ウェーブレット変換を用いた超音波データ解析によって,材料の微視的構造や損傷に関連するパラメータ(群速度と減衰率)を抽出するためのソフトウェアを開発した.
(3)超音波試験を実施するための試験装置を製作した.
(4)局所的に損傷した試験片を用意し,(3)の装置によって超音波試験を行って波形データを得た.
(5)(4)のデータを(2)のソフトウェアによって解析し,材料の微視的構造や損傷に関連するパラメータを抽出した.
(6)以上の成果を総括し,論文発表した.
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