研究分担者 |
高橋 淳 工業技術院, 物質工学工業技術研究所, 主任研究官
松原 輝次 (株)島津製作所, 試験計測事業部, 主任
野口 健一 東レ(株), 複合材料研究所, 主席研究員
落合 庄治郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (30111925)
駒井 謙治郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (70025948)
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研究概要 |
本研究では,実際のマクロな複合材料の界面近傍の境界条件を保ちながら,ミクロな領域での界面の降伏,破壊挙動を定量評価する,新しいメゾ要素試験法として,ミクロコンポジット試験を提案し,電磁加振機を荷重源とする微小荷重疲労試験機を試作して,界面の疲労強度測定を試みた.研究の成果は次のように要約される. (1)電磁加振機を用いた微小荷重疲労試験システムの開発:特殊な電磁加振機を作製し,これを荷重源とする容量2.5N, 10mNまでの微小荷重で制御可能な疲労試験機を試作した.ここでは,円盤に特殊なスリットを設けた板バネを考案し,これを荷重軸の固定に用いることによって,精密な軸合わせができ,かつ,数十mN程度の微小疲労荷重の制御も可能なことが明らかとなり,システムの開発にほぼ見通しがついた. (2)界面強度の異なる複合材料メゾ要素の静的および疲労試験:炭素繊維の陽極酸化法の通電量を変えて,表面官能器量の異なる炭素繊維を得た.これを用いて,中央の一本の繊維の周りを6本の繊維が取り囲むミクロコンポジットを作製し,複合材料中の繊維と同一の境界条件にした中央の繊維を引き抜くことにより界面強度を測定すした.静的試験では,界面強度に表面処理の差が認められたが,疲労試験ではその差はほとんどなかった.また,疲労試験において応力依存性は,最大荷重で整理するとほとんどないことを明らかにした. (3)ミクロとマクロの界面疲労特性の比較:ほぼ同じ荷重モードのモードII疲労層間はく離特性と比較すると,応力比依存性が大きく異なることがわかった.これは,界面近傍の疲労破壊機構が,マクロ層間破壊とは異なることを意味し,学術的に興味深い知見となった.
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