研究概要 |
1.研究目的 カルシウムを還元剤として用い,酸化ジルコニウム,二酸化マンガンなどの原料からZr-Ni-Mn系の水素吸蔵合金粉末を直接的に製造する金属熱還元法(還元拡散法)を開発するため,合金の組織や組成と水素吸蔵特性との関係および合金生成機構などを明らかにする。 2.Zr-Ni-Mn3元系合金の組織・組成と水素吸蔵特性 アーク炉により溶製した各種Zr-Ni-Mn3元系合金の組成および組織と水素吸蔵特性との関係を系統的に調べ,合金組織としては副相を無くして単相化を図ることが必要とされること,副相が丁度消失する境界上の42.2%Zr-29.9%Ni-27.9%Mnおよび44.4%Zr-34.3%Ni-21.3%Mnの組成を有する合金が水素吸蔵合金として最も優れた特性を有することなどが明きらかになった。 3.金属熱還元法による合金生成の機構 44.4%Zr-34.3%Ni-21.3%Mnの組成を有する合金粒子の1273-1423Kの温度域における生成機構を調べた結果,合金粒子の生成が,固相Ni中へのZrやMnの反応拡散によるものではなく,Ca融体中へのNiの溶解反応と溶融Ni-Ca合金中のNiと固相Zr,Mnとの不均一系反応によるものであることが明らかとなった。また,金属熱還元法により作成された合金粒子の水素吸蔵量が,アーク炉溶製により作成されたものよりはかなり少なく,水素透過を困難にしていると考えられる合金表面上酸化膜を除去することが,水素吸蔵特性を向上させるうえで必須の課題であることが分かった。
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