研究概要 |
透明導電性膜としてITO膜よりも安価でしかも低温度で成膜可能な透明導電性薄膜が要求されている。本研究はAlドープZnO薄膜(AZO薄膜)を活性化反応蒸着装置で作製することを試みたものであり,薄膜化条件と導電特性との相関,低温度成膜化について検討を加えた。 本研究で得られた結果は以下のように要約できる。 1)総蒸発速度1.0/s,AlのZnに対する蒸発速度比2〜6%,酸素分圧2.0×10^<-4>Torr,基板温度200℃,R.F.出力250Wの条件で比抵抗が10^<-4>Ωcmオーダーのc軸配向性AZO薄膜が得られた。 2)ZnOにAlをドープするとAl蒸発速度比2〜6%の範囲では,キャリア濃度の増加に伴い導電性が向上した。キャリア濃度の増加はAl^<3+>イオンのZn^<2+>サイトへの置換による。また,ホール移動度は若干の減少を示し,Alドープによる不純物散乱の増加を反映した。過剰のAlイオンをドープするとキャリア濃度は逆に減少した。これは過剰のAlが近距離置換することによってAl-O-Alクラスター化することによる。 3)作製した試料の可視光領域での透過率は蒸着条件に依存せず,透明導電膜として良好な値を示した。 4)総蒸発速度を増加させると基板温度200℃では膜成長速度は約2/sまでで飽和し,それ以上は成長速度は増加しない。また総蒸発速度が増加すると膜の結晶性は低下する。 5)基板温度50℃では総蒸発速度1.0/s,酸素分圧2.0×10^<-4>Torr,R.F.出力250W,Al蒸発速度比5%の条件で比抵抗1.0×10^<-3>Ωcmの薄膜が作製できた。この値は200℃で作製したものより劣ってはいるものの,高分子系基板上への膜作製の可能性を示唆している。
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