配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
本研究はフラクタル幾何学の視点から作物の根の形態を定量化し,土壌中から採取した根サンプルからの迅速・簡便な形態パラメータ収集法の開発,根の部分データによる根系全体の形態の推定法の吟味を目的とし,コンピュータ援用による簡易で効率的な根の生育診断法の可能性を探ろうとした。 1.フラクタル次元による根の形態の定量化が可能であること,すなわち根のフラクタル次元に影響を及ぼす主パラメータは根長,根端数およびトポロジーであることを明らかとした。トポロジーは従来の手法では定量化の非常に困難なパラメータであるが,フラクタル次元と根長および根端数の測定を併用することにより効率的に定量化可能であり,根の構築構造の解析手法として有効であることをマメ科作物について示した。 2.根のフラクタル次元に影響を及ぼす主パラメータである根長,根端数およびトポロジーの影響力の割合は根の発育状態によって変化することを明らかとし,根の生育診断の指標として利用可能であることを示した。また植物種によってもこれらパラメータ間のウエイトが異なることを示した。 3.水稲の根の形態のフラクタル次元は土壌中に均質に分布しているのではなく,土壌深度によって異なるプロフィルを有し,これは品種により特徴的であることを示した。また,単位土壌体積あたりの根量とそれに含まれる根のフラクタル次元との間に高い相関が存在することから,サンプルの一部のフラクタル次元の測定値から根系の分布密度の推定が可能であることが示唆された。 以上のことから,フラクタル次元は根の分枝状態の定量化と土壌中の根系分布密度の推定のための有効なパラメータであること,および根の生育診断の指標としての有望であることが示された。
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