研究概要 |
1.α-アミノイソ酪酸(AIB)NOプレハーベスト処理による鮮度保持効果の検討 AIBは,エチレン生合成の前駆物質ACCのアナログでありエチレン生成を阻害する。AIBはカ-ネーション切り花に対して鮮度保持効果を示す。AIBをカ-ネーション切り花の収穫前(プレハーベスト)に潅水にまぜて土壌に施用し,開花後収穫して,切り花の鮮度を調査した。その結果,AIBの土壌処理による投与は,切り花の鮮度保持に効果を示すことが明らかになった。 2.ACC酸化酵素の精製・性質の解析とACBCの作用 カ-ネーションの老化花弁から同酵素を抽出後,部分精製し,酵素学的性質を決定した〔最適pH=7-7.5,Fe^<2+>・アスコルビン酸・NaHCO_3(CO_2)の要求性,ACCに対するKm=111-125μM,分子量=35kDa〕。また,6種類のACC類似化合物の中で,1-アミノシクロブタン-1-カルボン酸(ACBC)が最も強い阻害作用を示した。阻害様式はACCに対する拮抗阻害であり,阻害定数はKi=20-31μMであった。ACBCおよびそのN-置換体は,カ-ネーション切り花に対して鮮度保持効果を有することが明らかになった。 3.1.1-ジメチル-4-(フエニルスルホニル)セミカルバジド(DPSS)の作用機構 DPSSは,1995年に報告された,カ-ネーション切り花に対して顕著な鮮度保持効果を有する薬剤である。DPSSはエチレン生成を抑制することにより鮮度保持効果を発揮する。カ-ネーションの老化花弁から,ACC酸化酵素とACC合成酵素を抽出して,in vitroにおけるDPSSの作用を検討し,DPSSは両酵素の活性を阻害しないことを明らかにした。
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