研究概要 |
圃場での節水栽培は作物反応に即した土壌水分制御にあり,実用的な節水型自動潅漑システムの開発が必要である。従来から自動潅漑システムの水分センサーとして圧力変換型テンシオメータが採用されていた。しかしながら,システムの上部に気泡が集積し,温度計のように反応して使用できなくなり,タイマー制御に移行した経過がある。この方法は時間で動作するので,曇天や降雨後でも土壌水分状態に関係なく圃場に水を供給して過剰潅漑の傾向にある。そこで,節水栽培のためには,土壌水分状態をセンサーでモニターしながら可動する実用的な土壌水分管理装置の開発が急務である。 本研究では,あらゆる土壌に適応した土壌水分制御センサーとして,温度影響の少ない埋設型土壌感圧水分センサーを開発した。また,同時に8センサーを迅速で正確に校正できる装置を確立した。さらに,砂ベット栽培でサラナダを供試作物とし,タイマー制御による水管理と,土壌水分張力をある範囲に制御した水管理との間で生育収量を調査し,比較した。その結果,センサーで制御した水管理法は,労働力の軽減だけでなく,品質の高い野菜の,均質な成果品を生産でき,生育期間を短縮できるなどの経済効果もあることが明らかになった。また,土壌水分張力について種々の組み合わせ実験を行った結果,土壌水分張力の適切な範囲は,野菜の根群伸長良好範囲にあり,栽培上,適切な空気率と関係が深いことが示唆された。
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