研究分担者 |
小島 紀徳 成蹊大学, 工学部, 教授 (10150286)
尾崎 益雄 前橋工科大学, 建設工学科, 教授 (00113283)
山口 智治 筑波大学, 農林工学系, 講師 (40015839)
大塚 義之 片平エンジニアリングインターナショナル, 技術部, 部長
井伊 博行 清水建設, 技術研究所, 研究員
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配分額 *注記 |
11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1995年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
本研究は,乾燥地における湛水化等の過剰水分に対する排水問題に対して,一般的な重力排水や強制排水施設を利用せずに,排水を大気中に蒸発させて水分を処理する蒸発促進装置を使った排水システムについて検討し,乾燥地農林業における排水の処理問題の一つの解決方法となることを目標としている.蒸発促進装置は,多孔質材料で作成した蒸発促進剤によって水分を毛管力により地面上方に引き上げ,蒸発面積を拡大させることで蒸発を促進させるもので,材質中の間隙の大小により保水性,毛管上昇高,毛管上昇速度などの水分特性に影響を与え,蒸発環境条件と共に蒸発促進材の材質等を決めていく必要があることが確認された.さらに蒸発が促進されることで,土壌中の水分分布に影響を与え,蒸発促進材周辺の水分の低下に寄与することも確認された.しかし,蒸発促進材の形状や配置間隔,設置密度によって蒸発量が大きく変化し,蒸発促進材周辺の通風の影響など環境条件に応じて蒸発促進材の形態を考慮する必要性があること,吸水に対しても透水性の低い土壌での排水能力低下から,早急な地下水位の低下を目的とした地域での利用は困難であることなどが確認された.さらに塩溶液中での蒸発促進材の使用は,蒸発促進材表面上部に塩類を結晶化,集積させることで蒸発促進材を使用しない場合に比べ溶液中の塩濃度の上昇を抑える役割を果し,蒸発促進材が蒸発促進能力を維持しながら除塩効果も有することが示された.このように,蒸発力を利用した排水法は乾燥地の強い蒸発力を積極的に利用することで,乾燥地の排水問題に対処する新しい排水処理法として利用できる可能性を持っているという結論を得た.しかし,各部位の処理能力は実際の現場での要求度に対し低く,装置としての完成には至らず,実用化には各部位のさらなる向上,改良が必要になると確認された.
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