研究概要 |
申請時の様式に従いファンクションジェネレータ,高周波アンプからなる超音波発生装置,計測用コントローラ,データ集録システムからなる制御装置,および熱電対,ゼロ点温度補償器からなる温度測定装置を組み合わせて一体化し,深部の小空間が有効に加温されることが超音波加温テストシステムを完成した.このシステムによる超音波の出力分布をヨウ化カリウムからのヨウ素の遊離(Weissler反応)を利用した線量計で検討した.通常Starchを添加すると,容易に呈色反応が観測できる.抱水クロラールはこの反応の増強剤として知られているが,より高感度の線量計とすべく改良を試みた.空気飽和条件でトリクロロ酢酸を添加すると,抱水クロラール添加時に比べて感度が増加した.この系を用い分割した格子状容器で照射すると,振動子の超音波出力分布が可視化でき有用と思われる.超音波加温テストシステムが体表面の冷却のため恒温水循環装置による冷却水を流せる構造を有することを利用し,雄Wistarラット皮膚におけるノルアドレナリンおよびヒスタミンの経皮的吸収に対する超音波の非熱的作用による薬物増強効果について検討した.ビーム実効長を短縮するため周波数(3MHz以上),組織損傷を防ぐため強度(0.75W/cm^2以下)を使用し,照射部位の温度上昇を抑制した条件でラットを麻酔下,薬剤をゲル状にして腹部に塗布した後超音波照射を行った.薬物による生理学的変化の指標として,血圧,心拍数,血流量等を測定したところ,US併用照射NA群では,非照射NA群に比較して血圧,心拍数の最大増加率が有意に高くなった.ヒスタミンについても検討したところ,US併用照射群で負の最大増加率が高い傾向を示した.超音波加温テストシステムは深部加温に加えて,超音波の非熱的作用を利用することにより薬物の経皮的吸収の促進に有用と思われる. 超音波 ハイパーサ-シア
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