研究概要 |
平成9年度の研究計画は,実験用スイカの栽培,ベンチテストでの再現性,位置決め精度の確認と7月中旬のほ場でのスイカ収穫実験であった。 研究計画に従い,実験用スイカを,担当者自ら京都大学農学部附属高槻農場で栽培した。これはスイカの特性を理解するのに有意義であった。ほ場実験に先立ち,室内実験でマニピュレータの作業速度,位置決め精度,スイカ収穫用真空パッドの位置許容値の実験を行なった。これによるとマニピュレータの製作が担当者の手作りであったため最大誤差35mmとなったが,再現性は15mm以内に納まった。また,真空パッドの位置誤差許容値は,軽いスイカ果実で50mm,重いスイカ果実で100mmあり,条件の不利な重いスイカほど誤差許容値が大きく,ほ場で十分スイカが収穫できることが分かった。 7月のほ場実験では,スイカの葉の茎は2mm以上あるため,葉がパッドとスイカの間にはさまった場合は,十分な真空が発生できず収穫できなかった。また,パッドが果実のへたの部分と接触した場合は十分な真空が発生できず収穫できなかった。必要真空を発生するために必要な空気圧は13kgの最も重い果実を収穫する場合でも300kPaの低圧で実機として使用するの問題ないことが分かった。パッドのおりる高さが十分でなく収穫できない場合も15%生じたが,パッドの位置を下げて再試行すると収穫できた。ほ場実験でも葉と茎を収穫前に取り除いておき,パッドの高さと再試行をプログラミングしておけばスイカの収穫は十分可能であることが明らかとなった。最終年の平成9年度は,予定通りほ場実験を行ない当初予測していた成果を上げることができた。スイカの位置決めを人手で決めることは困難で,他大学で担当している画像処理とのドッキングが今後の課題である。
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