研究概要 |
臓器移植においてHLA検査は、公平、公正な臓器の配分、より効率的な臓器の利用という観点から重要な検査である。本研究では、臓器移植に応用可能な、簡便、迅速、正確なHLA-DNAタイピング法、TMA-HPA法の確立を目的とした。TMA(Transcription mediated amplification)法は,RNAまたはDNAをターゲットとして開発されたRNA増幅法で,その解析にはSSO法の一種であるHPA(Hybridization protection assay)法を利用した。24種類のDNAプローブを用いたTMA-HPA法により28種類のHLAホモ接合体細胞株ならびに158名の正常健康人のDRB1アリルタイピングを行った。その結果、判定可能率は99.4%であり、血清学的結果との一致率は100%であった。DR1,DR7,DR9,DR11,DR12,DR13,DR1403,HR5は1対1対応で完全にアリルタイプに一致した。更に,DR2,DR4,DR8,DR14はより詳細なアリルタイプが可能であった。また、操作時間としては、DNAの抽出に1時間、増幅操作に5時間、検出に1時間と全行程7〜8時間で結果が得られた。さらに、埼玉県腎バンクに登録された96名の腎移植希望者のDNAタイピングを実施し、登録者の正確なDRB1アリルタイプを決定した。これにより腎移植希望者のDRタイピングをDNAタイピングで行ってもデータの整合性が保たれ,また,HLA-A,B,DRB1一致のドナー出現確率の算定が可能になった。
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