研究分担者 |
伊藤 泰男 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (40011150)
三輪 直人 日本シェーリング, 基礎研究所長
阪田 功 東洋薄荷工業, 取締役技術部長
中島 進 旭川医科大学, 手術部, 助教授 (70091577)
能勢 忠男 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (10009699)
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配分額 *注記 |
5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1997年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
最終年度はこれまでに開発されたボロンボルフィリン化合物であるSTA-BX909を用いて9Lグリオザルコ-マ培養細胞系に対する熱および熱外中性子の放射線生物学的効果の検討を行った. これまでに使用された熱中性子に対し,熱外中性子はエネルギーも大きく,その放射線生物学的効果についても異なることが予想され,その臨床応用に向けて基礎的なデータを得ることをも目的とした. 対象と方法 1)細胞系:9Lグリオザルコ-マ細胞を25cm2のカルチャー容器でRPMI1640の培養液と7.5%fetal bovine serum,erythromycinを加えてCO2インキュベータ-にてsemiconfluentになるまで培養した. 2)ボロン化合物:培養液内にSodium Borocaptate(BSH),あるいはSTA-BX909を10B濃度で30μg/mlになるように調整し,上記細胞にて24時間培養した.照射前8次間に培養液をボトルに充填して京大炉に搬送(10B濃度としては10倍希釈).対照としては通常の培養液のみでみたしたものを使用した. 3)照射プロトコール:京都大学原子炉実験所の重水炉の連続運転中にレール搬送装置を用いて培養細胞を照射孔に送り込み,熱中性子モード(00-0011-F):15,30,45,60分,熱外中性子モード(C0-000-F):30,60,90,120分の照射を行った. 4)細胞生存率の評価:照射後に細胞を0.25%trypsin in 1mM EDTAで浮遊細胞とし,数を数えたのちに直径6cmのカルチャーディッシュに散布し,2週間の培養ののちに0.25%metyleneblue in 90% ethanolで染色し,コロニー形成を測定した. 5)細胞周期に関する評価:照射後の細胞を12,24,48,72,120時間後に浮遊細胞とし,ethanol固定し,chromomycinA3にてDNAを染色し,FACSort(波長420nm)で検出した. 考察と結語 1)新しいボロンポルフィリンSTA-BX909はIn vitro実験で高い生物学的致死効果を得た. 2)熱外中性子と熱中性子の生物学的効果はボロン濃度が非存在の群でもっともその差が大きく,B(n,a)以外の要素が関与していると考えられた. 3)細胞周期のおよぼす影響は熱外中性子と熱中性子の間で大きな差はみられず,むしろ線量依存性に細胞周期におよぼす影響の方が大きい.
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