研究概要 |
neoadjuvant療法としてCDDP70mg/m^2、ADM30mg/m^2を主薬剤とし3週間おきに平均3回をone shotで内腸骨動脈に注入し、(全層生検)WLCBにより評価し効果が不十分な場合は全骨盤腔へ40Gyの放射線照射を併用する。治療前のstagingと治療効果の判定は画像診断のみでは不十分なので、膀胱全層生検(WLCB)と骨盤内リンパ節生検(FNAB)を行なった。 1985〜1993年までの間に、膀胱癌85例に経皮的WLCBを行った成績では、対象症例の80%で病理組織学的診断ができたが、20%の症例がunderstagingであった。そこで、より確実に採取可能な生検針を試作開発する。経尿道的WLCB(TU-WLCB)は経皮的WLCBに比べ、皮膚、皮下組織、筋層、膀胱前壁を穿刺部位する必要がなく、非侵襲的であり、麻酔も仙骨麻酔で十分である。また、穿刺部位も容易に選択でき、必要であれば多数の穿刺も可能で、経皮的WLCBに比べ、穿刺針がたわむ可能性がなく、長い良い標本が採取できることがわかったので、TU-WLCBの生検針の試作を行なった。 neoadjuvant療法後の全層生検の標本とその後全摘ないし部切を行った症例のstep sectionでの深達度を比較した(表1)。T1症例では5例中2例が一致したが3例は一致しなかった。不一致の2例は筋層への浸潤はなく筋層の間に腫瘍細胞がぱらぱらと浸潤していた。摘出標本との一致率は40%、同様にT2では50%,T3aが100%,T3bが78%,T4が100%であった。全層生検の深達度と摘出組織の深達度診断はT3、T4が一致する確率が高く、逆に、T1,T2の診断は難しい。T1,T2の診断にはTURのほうが有用と考えられた。
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