研究課題/領域番号 |
07557109
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
眼科学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
玉井 信 東北大学, 医学部, 教授 (90004720)
|
研究分担者 |
大木 和夫 東北大学, 理学部, 教授 (80115394)
武田 篤 東北大学, 医学部, 助手 (70261534)
石黒 誠一 東北大学, 医学部, 講師 (20111271)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
17,600千円 (直接経費: 17,600千円)
1996年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1995年度: 12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
|
キーワード | 虚血 / 虚血性眼底疾患 / 生理活性物質 / リポソーム / 神経栄養因子 / 細胞増殖因子 / グルタミン酸 / 興奮毒 |
研究概要 |
本研究は、虚血障害を定量的に評価するために必要な生化学的マーカーを見つけだすこと、これらのマーカーを使い、網膜保護に最も効果的な生理活性物質を見つけだすこと、脳についても同様の研究を行い比較すること、網膜保護に最も効果的な投与方法を見いだすことを目的とした。 1)実験動物モデルを作成。視神経結紮により、急激な虚血モデルをラットで作成した。傷害の回復度を網膜電図(ERG)、アンモニアの測定、グルタミナーゼ活性により評価。虚血に伴いERGの減弱、アンモニアの上昇、グルタミナーゼ活性の減少が網膜で認められ、これらをマーカーとして障害の程度を評価した。in vitroモデルも作成し、hypoxiaによりin vivoと同じ生化学的変化が認められることを確かめた。 2)細胞増殖因による治療の試み。虚血モデル動物に対し、1μlの様々な細胞増殖因(0.1μg投与:NGF,IGF-I,IGF-II,BDNF;1μg投与:b-FGF、stable bFGF)を眼内に注入し、その救済効果をみた。BDNFとIGF-IIが最も効果があった。NGFはグルタミナーゼ活性の現象を保護したが、アンモニアの上昇を抑えられなかった。一番期待されていたbFGFは中程度の保護効果しか観察されなかった。 3)脳虚血における神経栄養因子の役割。脳虚血では、新たな神経栄養因子として注目されつつあるHB-GAM(heparin-binding growth-associated molecule)が、海馬CA1細胞で遅発性神経細胞死に先だって著明に発現が減弱する事が判明した。 4)投与方法の検討。生理食塩水に可溶化して眼内に投与された生理活性物質は、急速に眼内から消失し、その維持効果が失われると考えられている。長期作用を達成するために、リポソームによる徐放効果を検討した。徐放速度を最適化するため、リポソームの組成を変えてATPの放出速度を調べたところ、フォスファチジルコリンに対しコレステロール濃度が高いほど徐放速度が低いことが判明した。従って、上記サイトカインの徐放剤としてコレステロール含量の高いリポソームは有効であると考えられた。 5)短期的には、BDNF,IGF-II,NGFなどの投与によって光学顕微鏡的に激しい浸潤細胞の出現やグリア細胞の増殖は特に見られなかったが、まだ定量的な解析が出来ないことと、長期的な観察が出来てないことなどから、副作用に関してはさらに検討が必要と思われる。
|