研究概要 |
アマルガムに代わる金属練成充填材の開発を目的として,ガリウムを液体金属に用い,合金粒子に銀を主成分とするものは市販されている。しかし,これは寸法変化量,耐食性,耐変色性で満足できるものではない。そこで耐食性を考慮して金を主成分として実験を行うと,寸法変化量の大きいことが判明している。そのため金量を50wt%におさえて,これに銀,銅,白金,錫を加えた合金を作り,アニーリング温度を500℃の高温で処理した合金につき寸法変化量,圧縮強さ,圧縮時の変形量,耐変色性,耐摩耗性を調べた。その結果,(1)寸法変化量が小さくなるのは銅を銀量より多くし,白金と錫は等量のときであった。実験組成中,50wt%Auに対し15Ag-25Cu-5Pt-5Snの組成は60μ/cm以下となった。(2)圧縮強さでは銀,銅量には影響を受けず白金,錫量により変化し,白金,錫が等量のとき最も強くなった。本実験では圧縮強さは全組成で42Kgf/mm^2以上となりアマルガムより,はるかに強い値が得られた。(3)圧縮ちぢみ率では錫,銀量を多くし,白金,銅量を少なくしたとき大きくなった。また,圧縮ちぢみ率が3%をこえたものは50wt%Auに対し25Ag-15Cu-2Pt-8Sn,20Ag-20Cu-2Pt-8Sn,15Ag-25Cu-5Pt-5Snの3組成であった。これらは咬合圧により,展延性を示すことを示唆している。(4)0.1%硫化ナトリウム水溶液に3日間全浸漬したときの,浸漬前後の色差では銀と銅量が20%のもので白金が多いものほど大きく,錫量が多いほど小さくなった。(5)耐摩耗試験では白金と錫が等量の組成で小さく良好となった。 以上から,銅量は銀量より多く,また白金と錫が等量のとき諸性質が良好となることがわかった。
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