研究課題/領域番号 |
07557148
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野村 靖幸 北海道大学, 薬学部, 教授 (00034041)
|
研究分担者 |
難波 恒雄 富山医薬大, 和漢薬研究所, 教授 (90028837)
上原 孝 北海道大学, 薬学部, 助手 (00261321)
村山 俊彦 北海道大学, 薬学部, 助手 (90174317)
徳光 幸子 北海道大学, 薬学部, 助教授 (60001046)
松田 彰 北海道大学, 薬学部, 教授 (90157313)
倉石 泰 富山医薬大, 和漢薬研究所, 教授 (80111970)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
1996年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1995年度: 10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
|
キーワード | 学習 / 記憶 / 老化 / 痴呆 / アセチルコリン / アセチルコリン受容体 / 老化促進マウス / ラット / 記憶・学習 / 丹参 / lithospermic acid B / SAMP8系マウス / Moris's water maze / プロテインキナーゼC / [^3H]PDBu結合 / 空間認知機能改善作用 |
研究概要 |
急速な人口の高齢化に伴う老人性痴呆症の多発が危惧されており、有効な医薬学的対応が切望されている。このために記憶の脳内機構とその加齢変化の解明が必要である。研究では、ラットおよびマウスを用い脳内ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)の学習/記憶への関与とともに、mAChRの細胞内情報伝達機構、ならびにこれらの加齢に伴う変化を検討し、以下の知見を得た。1)M1受容体刺激はPI代謝活性を上昇させ、この活性調節にはPTX非感受性G蛋白が関与すること、2)mAChR応答機構は学習/記憶において一部役割を担っており、短期記憶から長期記憶への移行期、あるいは長期記憶形成のごく初期段階において、M1受容体応答機構が関与すること、3)学習/短期記憶形成過程において、細胞内Ca^<2+>動員が関与すること、を明らかにした。また、老齢ラットを用いた神経化学的検討から、大脳皮質および海馬において、M1受容体数が減少し、この受容体を介したPI代謝活性は老齢期に低下することを明らかにした。この活性の低下が学習/記憶障害の原因である可能性が示唆された。以上の結果から、学習/記憶にmAChRのサブタイプの脳内M1受容体応答機能あるいは細胞内Ca^<2+>動員が重要であることを個体レベルにおいて明らかにした。また、老人性痴呆症あるいはアルツハイマー型痴呆症における病理学的所見と類似する幾つかの知見を得ることができた。すなわち、1)脳内ACh神経系が加齢に伴い機能低下すること、2)大脳皮質ACh神経系は老齢期でも比較的機能を維持できているが、海馬ACh神経系はより早期に機能低下する可能性があることである。この代償的機能発現の機構の解明は、痴呆症の薬物治療の検討、および脳高次機能の解明につながる可能性を秘めている点で重要な知見であると思われる。
|