配分額 *注記 |
16,300千円 (直接経費: 16,300千円)
1997年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1996年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
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研究概要 |
ラット膵B細胞株(RIN)は高グルコース下で長期培養するとゴルコースセンサーであるグルコキナーゼの発現が消失し、インスリン分泌も著明に減弱する。インスリン分泌能が消失したRIN細胞にグルコキナーゼを過剰発現させた細胞株を樹立し、過剰発現によって発現が上昇たは減弱する連関因子の同定を試みた。すなわち、グルコキナーゼ過剰発現細胞とコントロール細胞を用いてmRNA differential display法を実施して検索した。その結果、発現レベルが変化する13個の遺伝子を同定することに成功した。このうち、5個の遺伝子発現は上昇し、8個は減少した。BLASTプログラムを用いて遺伝子データベースを検索したところ、5種類は既知遺伝子と有意の一致を認めたが、他の8種類は未知遺伝子であった。既知遺伝子は、calmodulun (低下),L-type pyruvate kinase(上昇),glycosylphosphatidyl-inositol-anchored protein(低下),mitochondrion(16S,12S,rRNAs,tRNAs)(上昇),uroporphyrinogen decarboxyrase(上昇)をコードする遺伝子であった。特に、calmodulinは過剰発現によってインスリン分泌障害が生じることが実験動物によって示されている。また、L-type pyruvate kinaseはグルコキナーゼと同様に肝ではインスリンによって発現制御されることが知られているので、膵β細胞での連関因子として同定されたことは興味深い。グルコース認識機構をよりよく理解するためには、他の未知遺伝子について全長を決定して機能解析を行うことが重要である。
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