研究概要 |
1.実用化に最も重要なハイブリドーマG2, G6株のマスターセルバンクを作製し,その3, 4代目培養上清について安全性試験を行い(1)in vivo :卵接種試験の結果,(i)羊膜腔内,(ii)漿尿膜上,(ii)卵黄嚢内,(iv)尿膜腔内接種試験において,胎児を死亡させたり,または血球凝集,血球吸着を起こす因子は検出されなかった.動物試験の結果,(i)乳のみマウス,(ii)成熟マウス,(iii)モルモット接種試験で,動物を死亡させたり,臨床症状に異常を起こす因子は検出されなかった.(2)in vitro :上記培養細胞の超音波処理上清について,(i)MRC-5, (ii)Vero, (iii)MDCK細胞接種試験,(iv)Co-cultivation試験の結果,細胞変性が認められず,また血球凝集,血球吸着も認められず,細胞中にRT(逆転写酵素)活性も認められなかったことからG2, G6のマスターセルバンクの細胞には,迷入ウイルスの混入はないと判定した.しかし,(3)誘発剤によるレトロウイルス検出試験でRT活性が陽性であり,電顕観察でIntercisternal-A型粒子が観察され,S+L-focus assayはG2株が陽性となった.Mouse antibody production assay, Extended XC plaque assayは陰性であった.2.品質管理のため,これらのモノクローナル抗体(MAb)の特性を明確にするために,毒素フラグメントを種々のプロテアーゼ処理した消化物を分画,免役染色により毒素分子上での対応するエピトープの局在を調べた.3.上述の安全試験の結果を考慮して,しかもハイブリドーマが高中和活性MAbを産生するという特性を活かして,免役グロブリンに共通して保存された遺伝子部分のオリゴヌクレオチドプライマー混合物を用いてcDNAをPCR法で増幅し,毒素の[C]ドメインに対応するMAb-G6の可変領域遺伝子部分をクローニングし,その塩基配列を確定、アミノ酸配列を推定した.ついで,毒素の[B], [C]ドメインに対応するMAb-G2, G4についてもクローニング,配列決定をし,より安全で,容易,安価に組み換え型ヒトモノクローナル抗毒素が作成できる道を開いた.
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