研究概要 |
癌の発生、進展に関与する発現遺伝子を検出する新たな方法を開発する目的で、遺伝子上で実際に発現している遺伝子領域をvisualに検出する手段として、Comparative mRNA Hybridization(CmRH)を考案し実用化に向けて検討を行った。 本手法は、(1)目的組織と対象組織より抽出したtotal RNAから、digoxigenin、あるいはbiotin標識したそれぞれのcDNA probeを作製する。(2)これを正常リンパ球のmetaphase上に同時にhybridizationさせた後、FITC(緑)、Rhodamine(赤)で二次標識する。(3)蛍光顕微鏡とCCDカメラにてに検出し、画像処理にて緑と赤の蛍光量を比較・定量化する。以上の3つのstepからなる。 研究期間中に以下の知見を得た。 1.total RNAからのcDNA probeの作製:oligo(dT)primer,biotin-dUTP,digoxigenin-dUTP存在化に逆転写酵素を用い標式cDNA probeを作製する方法では、probe sizeが2-3kbとなりcomparative hybridizationには長すぎたが、いったんcDNA作成後、Nick translationで標識することで至適size(500-1000bp)のprobe作製が可能であった。 2.hybridizationの問題:cDNA probeの場合DNA probeに比べhybridization効率が悪く、洗浄過程のstringencyを下げ試みたが、非特異的なhybridizationの増加にため解析困難であった。この原因はDNAとcDNAとのhybridizationにおけるイントロン領域でのミスマッチと考えられ、この問題の解決がCmRHの実用化に不可避と考えられた。
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