研究課題/領域番号 |
07557265
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
宇山 昌延 関西医科大学, 医学部, 教授 (30025580)
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研究分担者 |
松原 孝 関西医科大学, 医学部, 助手 (10278640)
松永 裕史 関西医科大学, 医学部, 助手 (80278639)
高橋 寛二 関西医科大学, 医学部, 講師 (60216710)
福島 伊知郎 関西医科大学, 医学部, 助手 (40261052)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | インドシアニングリーン赤外蛍光造影 / 蛍光眼底造影 / フルオレセイン蛍光造影 / 光凝固 / 脈絡膜梗塞 / 脈絡膜新生血管 / 血液網膜関門 / インドシアニングリーン赤外螢光造影 / インドシアニン・グリーン赤外蛍光眼底造影 / ICG蛍光造影 / 赤外蛍光眼底造影 / 脈絡膜循環障害 / 網膜光凝固 |
研究概要 |
1.はじめに インドシアニン・グリーン(indocyanine green,ICG)赤外蛍光眼底造影(ICG造影)の造影所見の解釈にはなお意見の一致をみない。われわれは造影所見の読影に科学的根拠を与えるため、動物実験を行いICG造影所見と網脈絡膜の病理組織学所見の対比を行った。 2.動物実験による基礎的研究 (1)網脈絡膜におけるICGの局在の証明:ラットにICGを静注し、注射直後から30分までの間にICG造影の後、眼球摘出し、冷凍切片を作製、切片を赤外線光学蛍光顕微鏡で観察し、組織内におけるICGの局在を観察した。ICGは脈絡膜血管内にあらわれ、脈絡膜毛細血管板から徐々に血管外へ漏出し、脈絡膜実質内を内方から外方へ拡散した。網膜色素上皮をこえて網膜内への拡散、網膜血管からの血管外漏出はなかった。脈絡膜でも毛細血管板以外の中大血管からは血管外へ漏出しなかった。ラット眼にレーザー光凝固の弱凝固を行い、脈絡膜細血管板を凝固閉塞した。また微量のオルチニンをラットの硝子体内に注入して、網膜色素上皮を障害した。ICG造影では、脈絡膜毛細血管板の閉塞消失は造影早期に低蛍光となり、色素上皮の障害は造影晩期に遮蔽効果(masking)によって低蛍光となった。また傷害された色素上皮はICGをとりこんで過蛍光を示した。 (2)実験的脈絡膜循環障害とICG造影:サルの眼球後方強膜上で耳側の後毛様動脈をすべて切断して、血行途絶を生じ、ICG造影と摘出眼球の網脈絡膜の病理組織学的検索、頸動脈からメルコックス樹脂注入による脈絡膜血管鋳型標本の観察を行った。脈絡膜動脈の血行途絶によって黄斑部の耳側に脈絡膜梗塞を生じた。ICG造影の早期には充盈遅延および充盈欠損は、背景蛍光の欠損による低蛍光としてあらわれた。 (3)実験的脈絡膜新生血管とICG造影:サル眼に強度のレーザー光凝固を行って脈絡膜新生血管を発生させた。脈絡膜新生血管のICG造影所見は血管鋳型標本と一致していた。ICG造影で新生血管周囲には低蛍光の暗いふちどりがみられ(dark rim)網膜色素上皮の増殖によるmaskingによるものであって、新生血管の存在を示す所見であった。 3.おわりにICG造影は網膜色素上皮から後方、脈絡膜の状態を詳しく知りうる新しい検査法として有用である。フルオ造影と両方の造影所見は相補的なもので、両所見を併せてよく読影して眼底患者の病態生理の解明、診断と治療に応用する価値は高い。
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