研究概要 |
1,麻黄附子細辛湯は100, 300mg/kgの経口投与において、ラット及びマウスの反復低温ストレス性痛覚過敏を抑制したが、正常動物に対しては用量においても抗侵害受容作用に影響を及ぼさなかった。反復低温ストレス性痛覚過敏マウスにおいて、モルヒネの皮下投与やジクロフェナックの経口投与も有意に痛覚過敏を減弱した。 2,反復低温ストレス負荷前にセロトニン神経毒5,7-DHTをラット脊髄くも膜下腔内注射し予め脊髄のセロトニンを減少させておくと、麻黄附子細辛湯による痛覚過敏の抑制効果が有意に減弱した。一方、カテコラミン神経毒6-OHDAの脊髄くも膜下腔内注射で脊髄のノルアドレナリンを枯渇させておいても、麻黄附子細辛湯の痛覚過敏抑制効果は減弱されなかった。 3,セロトニン受容体遮断薬のシプロヘプタジン、メチオテピン、メチルセルジドをそれぞれラット脊髄くも膜下腔内に注射後、麻黄附子細辛湯を投与すると反復低温ストレス性痛覚過敏が有意に抑制された。一方、アドレナリン受容体遮断薬のフェントラミンの脊髄くも膜下腔内注射は無効だった。 4,桂枝湯は100,300mg/kgの経口投与において、ラットの反復低温ストレス性痛覚過敏を抑制したが、正常ラットに対してはいずれの用量においても抗侵害受容作用に影響を及ぼさなかった。 5,脊髄くも膜下腔内への6-OHDA注射は、桂枝湯の痛覚過敏抑制効果を減弱する傾向を示したが、5,7-DHT注射は無効であった。 6,以上、反復低温ストレス性痛覚過敏モデルを用いて、麻黄附子細辛湯および桂枝湯の鎮痛作用を検出した。またその機序として、麻黄附子細辛湯では下行性セロトニン作動性神経系が、桂枝湯では下行性ノルアドレナリン作動性神経系が関与していることが明らかにした。
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