研究概要 |
1. 聴覚障害者の言語使用能力を、数種類の型と習得の段階に応じた級に類別して、それぞれに適した書き言葉の学習を中心として、音声・文字・手話の単語・単文の教材のテキストを編集した。この教材は、語彙の拡充、文法の把握、総合的理解の3部で構成されている。このための語彙は、日本語基本語彙集から2,000語を選んでデータベース化し、文法の把握や総合的理解の課題と連結させて使用できるようにした。 2. 聴覚障害者の言語使用能力のうちで,音声と併用することが不可欠な読唇について,口形によって音声の情報のどれだけの部分を伝えることができるか,とくに日本語では同音語が異常に多いために,他の言語に比べて情報がどれだけ少なくなっているかを,統計的なデータから数量的に調べ,その結果を読唇の指導法に活用することを検討した. 3. 音声・読唇・指文字・手話・筆談などの言語媒体を,聴覚障害者が使用している実態を調査したデータを詳細に解析した.その結果によると,対話の相手や場面に応じてこれらの言語媒体を有効に使い分ける能力を,マルチメデイア社会に対応するためには,どの年齢層ももっと習得する必要があることが示されたので,そのための方策を検討した. 3. 聴覚障害者の言語使用能力の向上のための自習システムの研究の一環として,手話の電子辞書システムを開発した.このシステムは,手の形や腕の動きの新しい表記記号体系による手話データベースを応用して手話単語を検索をするもので,手話の初心者の自習の使うとともに,手話の表記を精密化するための詳細な分析にも使うことができる.
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