研究概要 |
1.フラッシュ・エバポレーター,恒温循環水槽,冷却水循環装置,バキュームコントローラー,マルチタイマー,基質液送ポンプ,ダイヤフラム式減圧ポンプ(7年度研究経費にてすべて購入済み)を用いて,研究分担者中村 薫助教授,吉田安子氏の協力により非水系酵素固定化バイオリアクターを試作した。 2.セラミ体のヘプタヘリセンジオールをエタノールから再結晶すると,結晶中にエタノール分子が1対1の割合で取り込まれること,同じヘリシテイを有するヘリセン分子がそれぞれb軸方向に重なってカラムを形成してることをX線結晶構造解析により明らかにした。 3.リパーゼCALを0.5g用いた鏡像体区別反応では,100mgのラセミ体ヘプタヘリセンジオールから光学純度92%の(M)-(-)-ヘプタヘリセンジオールが43.7mg得られることを見い出した。さらに,モノアセテート,ジアセテートの加水分解により,(P)-(+)-ヘプタヘリセンジオールをそれぞれ光学純度70%,87%で得ることに成功した。 4.グラムスケールの光学分割では,ラセミ体ヘプタヘリセンジオール1.00g,リパーゼCAL2.5g,ビニルアセテート20mlより光学純度98%の(M)-(-)-ヘプタヘリセンジオールを442mg得ることに成功した。以上のように,申請者が開発した手法により,配位性官能基を持つヘプタヘリセンジオールの多量合成が可能となった。このような螺旋分子の構造や性質,反応性の研究は極めて興味ある研究領域であり,今後の研究が多いに期待される。
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