研究概要 |
人工骨代替材料として医療に用いられる金属チタンは,骨組織と直接接合する能力(生体活性)はない。そこで本研究は,生体活性で低融点のガラスを開発し金属チタンに琺瑯コーテイングにより,この問題の解決をはかった。 1.基本ガラス系の選択と生体活性 (1)CaO-B_2O_3-SiO_2系ガラス この3成分系の種々の組成のガラスについて,擬似体液中におけるアパタイト形成を調べた。その結果,ほとんどのガラスで生体活性を示した。しかし,多量のB_2O_3を含むガラスはアパタイト形成能が低下した。 (2)Na_2O-B_2O_3-SiO_2系ガラス この系の種々のガラスの生体活性と構造との関係を^<29>Si MAS NMRで調べた。その結果,30Na_2O・0B_2O_3・50SiO_2付近のガラスでは,架橋酸素2個と結合するSi原子が多量に存在するためと,結論した。 2.各ガラスコーティング金属チタンの生体活性 (1)CaO-B_2O_3-SiO_2系ガラス 最も生体活性なもののうち熱膨張が金属チタンに最も近45CaO・30SiO_2・25B_2O_3ガラスをコーティングしたところ,試料は擬似体液中約12時間で生体活性を発現した。 (2)Na_2O-B_2O_3-SiO_2系ガラス 35.9SiO_2・21.1Na_2O・38B_2O_3・5CaO (5Ca)の組成のガラスを金属チタンに琺瑯すると,擬似体液中浸漬後7日で,生体活性が発現された。
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