研究概要 |
肥満・高血圧・糖尿病などの成人病は,若年・青年期のライフスタイルに起因することが報告されている。どのような食事,住環境,運動,休息,睡眠を取っているかが,中高年・老年期の健康状態を左右するという。このような結論は、医学の疫学・フィールド調査により明らかとなってきた。具体的にどのような食事,住環境,運動,休息,睡眠を選択するかという疑問に対して、"バランスのとれた食事に適度な睡眠,運動"といったように具体性の欠ける助言しか得られないのが現状である。本研究の目的は小動物をモデルとし,長期間様々なライフスタイルが模擬できるシステムを開発作成することある。 平成7年度は小動物が自由行動下で,動脈圧等の生理パラメーターを長期間連続測定し,コンピュータ収録・解析可能にすることを検討した。Wistar系のラットを用いカテーテル等を留置し,動脈圧,体温,心電図,神経活動を長期間連続的に記録した。これらのデータ収集は,市販のプログラム(Visual Desingner)を用いた。結果、ラット安静時の腎交感神経活動は約100mVの振幅をもった動脈圧に同期バースト状であり、良好なS.N比を得た。 平成8年度は、昨年度のモニター項目に脳波と筋電図を追加し覚醒・睡眠時の循環動態および腎交換神経活動の変化を連続測定する方法を開発した。実験の少なくとも4日前に電極およびカテーテルの慢性留置手術を行った。脳波はフーリエ変化しパワースペクトルを同時に算出した。脳波のスペクトルの0.5-4Hzをデルタ帯6-9Hzをシ-タ帯10-14Hzをシグマ帯に分けた。デルタ帯とシグマ帯のパワーおよび筋電図より睡眠期のNREMとREM期および覚醒時の静止期および運動期に分けることができた。以上より、ラットの生活パターンを自動的にかつ正確に認識するシステムを確立した。 以上より、ラットを用いヒトのライフスタイルの変化と健康状態、高血圧、肥満、糖尿病などの病態成因の動的変化過程因果関係を明らかにする実験方法を確立した。
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