研究概要 |
本研究は,INSPECテープに代表される英文科学技術文書の集積から知識獲得を行うことに主眼をおいて,抄録文に対して比較的浅い理解を行う理解システムの構築を目的にしている.この目的を達成するためには,文の基本部分を,述語記号に動詞,項に名詞句をそのままあてた第1階述語論理式へ変換する技術の開発が必要である.このため,3年間を通して,動詞句の構造決定と名詞句の範囲決定に関しての研究を行い,以下の研究成果を得た. (1)論理式の述語記号となる動詞の決定に関しては,抄録文とキーフレーズにおける単語の生起頻度の比に基づく動詞決定法を開発した.また,この決定法は,従来開発していた方法より優れていることを示した. (2)論理式の項となる名詞句は,一つの中核名詞とその前方修飾語から成る単純名詞句が結合したものである.そこで,この単純名詞句の決定のために必要な中核名詞の決定手続きと前方修飾語の決定手続きを開発した. 従来,中核名詞および前方修飾語の決定は,品詞情報に基づく方法が一般的であった.しかし,品詞の曖昧さの問題により決定精度を上げることができない.そこで,(2)で開発した手法と品詞に基づく従来手法の比較を行い,(2)の手法が優れていることを示した. (4)上記(2)の手続きと,昨年までの研究ですでに開発していた中核名詞の決定手続きとに基づき,単純名詞句の決定手続きを開発し,その評価を行った.
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