研究課題/領域番号 |
07558200
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野 哲也 東北大学, 医学部, 教授 (00107509)
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研究分担者 |
井上 浩明 東洋紡(株), 主任部員
山本 和生 (山本 和夫) 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20093536)
祖父尼 俊雄 (祖父尼 俊夫) 国立衛試, 安全性生物試験セ・変異遺伝部, 部長 (20132889)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1996年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 環境変異原 / 放射線 / 欠失型突然変異 / lacZ / Spiアッセイ / トランスジェニックマウス / 環境変異原物質 / 突然変異 / プラスミド / シャトルベクター |
研究概要 |
環境中にはさまざまな突然変異誘発物質が存在するが、それらのヒトへのリスクを推測する上で個体の各組織に対しどれ程の突然変異を誘発するかを測ることは重要な情報となる。この目的のため、近年いくつかのトランスジェニックマウスが開発されてきたが、それらはDNA上の小さな変異は検出できるものの、大きな欠失型の変異は検出できないという欠陥をもっている。この点を克服するために新たに開発されたIngenoマウスについて、これが本当にデザインされた通りに大きな欠失型の変異を検出できるかどうかについて検討した。その結果、確かに検出はできるが、その検出感度は低く実用的ではないことが明らかとなった。具体的には大きな欠失型突然変異を誘発することが知られているX線を用い、致死線量の約半分であり、かつ他のデータから充分な突然変異誘発の期待される線量である4Gyを照射し脾臓における突然変異誘発を調べたが2倍以下のわずかな誘発しか見出せなかった。50Gyと100Gyという致死線量をはるかに越える線量ではそれぞれ約5倍、10倍の突然変異誘発がみられた。そこで誘発された変異の質についてDNAを回収して分析した所、ほとんどが欠失型の突然変異であることが分かった。以上のことはIngenoマウスが欠失型の突然変異を検出するためには有効であること、ただし、その感受性は低く、致死量以下のX線による突然変異誘発は検出できないことを示している。この原因としてIngenoマウスでは自然突然変異頻度が1×10^<-4>と比較的高いことが考えられたので、この自然突然変異頻度の低いSpiアッセイを用いた新たなトランスジェニックマウスを開発した。この系(gpt delta)での自然突然変異頻度は1〜2×10^<-6>であり非常に低い。DNAの欠失も約10kb位の長さまでは検出できると予想される。現在この系を用いて放射線による突然変異誘発を調べ始めているが、少なくとも5Gyの照射では5〜10倍の増加が認められ、しかもその多くは欠失型の突然変異であることをつきとめている。今後、より低い線量での突然変異誘発を調べていく。
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