研究分担者 |
西山 省ニ 明治製菓(株), 薬品総合研究所, 主席研究員
三浦 伸彦 東北大学, 薬学部, 助手 (20229644)
宮入 伸一 東北大学, 薬学部, 助教授 (50209855)
西山 省二 明治製菓(株), 薬品総合研究所, 主席研究員
|
研究概要 |
環境汚染物質の毒性に対する防御因子として既にいくつかの蛋白質が同定されているが,これら既知の因子よりもさらに強力な作用を有する未知の防御因子が存在する可能性が強く示唆されている。そこで,環境汚染物質の一つとしてメチル水銀を選び,酵母を利用した独創的な方法を用いてメチル水銀毒性に対する防御遺伝子の検索を行った。その結果,メチル水銀耐性遺伝子と思われる完全長ORF(Open Reading Frame)が得られた。この遺伝子を導入した酵母は検討したメチル水銀以外の物質には耐性を示さないことから,今回単離された遺伝子はメチル水銀毒性を特異的に防御する細胞内因子をコードしているものと考えられる。本遺伝子は既知酵素をコードしており,メチル水銀は本酵素の活性を阻害し,また,本酵素の産物を供給することによってメチル水銀の細胞毒性は著しく軽減された。これらの結果から,本研究によって同定されたメチル水銀耐性因子はこれまで全く不明であったメチル水銀毒性の標的分子である可能性が高い。一方,放射線防御因子としての抗酸化酸素の役割をマウスを用いて検討したところ。メタロチオネインが放射線照射による骨髄毒性を顕著に軽減する作用を有することが判明した。メタロチオネイン遺伝子欠損細胞を用いた検討によってメタロチオネインが他の遺伝子の発現に必須の役割を果たしていることも明らかとなったことから,メタロチオネインが発現を調節している遺伝子の産物が放射線防御作用を示す可能性も考えられる。
|