研究概要 |
試作した3液混合迅速ろ過装置を用いて従来未解決であったNa,K-ATPaseへのイオン結合-閉塞量がNa,K-ATPaseのリン酸化と脱リン酸化に伴いどのように、変化するかを、触媒鎖のCys-964に結合したBIPM probeとmembrane domainに導入したRH-421の蛍光変化を指標に構造変化として、又Asp-369のリン酸化量と共に測定した。Na結合酵素にMgとATPをRbの有無で添加するとRH-421蛍光の速やかな増加(〜80/s)とリン酸化(〜70/s)とBIPM蛍光の増加(45/s)がRbの存在に依存せず生じ正常値に達した。しかしRb存在下ではその後、速やかな脱リン酸化(〜30/s)の後、RH-421蛍光の減少(〜20/s),緩慢なRbの閉塞(12/s)が生じ、その後BIPM蛍光の減少(〜9/s)が生じた。以上の結果その他はRH-421蛍光はBIPM蛍光に先行して変化しEP形成に先行することから,酵素へのATP結合をBIPM蛍光で感知されるTightly bound ATP形成以前に感知できることを、またRbによる、脱リン酸化はRbの閉塞ではなく、結合により生じ、脱リン酸化後初めてRbの閉塞が生じることを示していた。Rbの閉塞によりさらに緩慢なBIPM蛍光の増加がなにを反映するか、又触媒鎖当たり2モルのRb閉塞がリン酸化酵素経由では1モルに減少することを含めNa,K-ATPaseが4量体構造を示すことが最近、我々の研究で明らかにされたが前記Molecular eventsがどの触媒鎖でいかなる順番で生じるかは、今後に残された問題である。
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