研究課題/領域番号 |
07558232
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究分担者 |
高宮 孝悟 (高宮 考悟) 大阪大学, 医学部, 助手 (40283767)
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助教授 (70223237)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 平滑筋細胞 / 形質転換 / 細胞外マトリクス / 増殖因子 / カルデスモン / α1インテグリン / 平滑筋型α-アクチン / α-トロポミオシン / 細胞外マトリックス / 細胞内シグナル伝達系 / トロホミオシン / 転写制御 / スプライシング |
研究概要 |
本研究の目的は培養平滑筋細胞の分化型形質維持システムを確立し、動脈硬化症や高血圧等の病態解析や臨床研究のためモデル系への応用を図ることにある。種々の細胞外マトリックス及び増殖因子・サイトカインを用いて平滑筋細胞培養系の検索を行った結果、ラミニンのみが著しい脱分化遅延能を有することと及びインスリン様増殖因子(IGFI、IGFII)またはインスリンを併用することにより分化型平滑筋細胞を培養できることを見いだした。これらの増殖因子のなかでIGFIが平滑筋細胞の分化形質維持に関わる最も強力な因子であることが判明し、チロシンリン酸化及びPI3キナーゼが関与するラミニン/IGFI受容体を介したシグナル伝達系が平滑筋細胞の分化誘導に関わることを明らかにした。さらに、血清刺激で平滑筋細胞の脱分化を誘導させるとIGFI受容体の発現が著しく抑制されることを見いだし、平滑筋細胞の脱分化はIGFI受容体の発現低下がその一因となる可能性が示唆された。上記の分化型平滑筋細胞培養系を用いて平滑筋細胞の形質転換(分化・脱分化)に伴う遺伝子発現制御を解析した。平滑筋細胞分化に伴い発現量が増加するルデスモン及びα1インテグリン両遺伝子のプロモーター領域にはCArGボックス様の配列が存在し、これらは分化型平滑筋細胞での転写促進に必要で、SRF (serum response factor)がコア因子として結合することを明らかにした。また、同じ平滑筋細胞でありながら内臓平滑筋細胞では形質転換に際して、平滑筋型a-アクチンの発現は分化型細胞では低く、逆に脱分化に伴い著しく増加するという血管平滑筋細胞とは逆のパターンを示すことを見いだし、平滑筋型α-アクチン・プロモーターには正の因子として働く2つのCArGボックス様の配列とpurine-rich motif以外に、新たに負に働くシス因子を同定した。平滑筋細胞の形質依存性に高分子型と低分子型アイソフォーム間の発現変換を決定するカルデスモン遺伝子のエクソン3に内在する2ケ所の5'-スプライス部位の選択に関するスプライシング解析から、hnRNPA1が低分子型カルデスモンmRNAの発現に関与していることを見い出した。αトロポミオシン遺伝子のエクソン2aとエクソン2b間でのエクソン選択による発現変換とカルデスモン遺伝子のエクソン3における5'-スプライス部位の選択による発現変換は平滑筋細胞の形質依存性に協調的制御を受けることが示唆された。
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