研究概要 |
次世代人工心臓としてのシールレス遠心血液ポンプ(歳差式と磁気浮上式)の性能向上を目指している. 1.歳差式:羽根を揺動円板に換え、ポンプ回転数の低下による溶血の低減を計って,円板表裏両面を用いた2段昇圧方式を採った。円板外縁部の隙間を狭く,かつ,ダイアフラム側流入口を広くとることにより,性能改善の効果が見られた. 2.磁気浮上式:(1)羊による動物実験において,医学部では2ケ月,他の研究機関では11ケ月を超える生存が続いており,長足の進歩が得られた. (2)カニューレのクランプにより一瞬,流量零の運転状況を作り,この時点のモータ電流(I)と回転数(N)から粘度を知り,所定の作動時のI, Nから流量・圧力差を計測器を用いずに計測が可能になった. (3)各種羽根形状について磁気浮上するインペラ-の旋回中心とふれまわりをレーザ変位計で測定し,半径方向直線羽根が最も安定であることがわかった. (4)回転インペラ-が静止して見える光学系を用いて,各種の羽根のまわりの流れをビデオで撮影した.その結果,半径方向直線羽根では正負の一対の渦が羽根にまつわりついて渦が流れ去らず,このため流れが安定し,インペラ-の旋回中心が殆ど動かないことがわかった. 3.流れの数値解析:(1)インペラ-内流れを単純化したオリフィス流れについて,低レイノルズ数乱流について数値解析を行い,乱流剪断応力により溶血特性が推算できた. (2)粘性拡散速度を用いた離散渦法によって羽根まわりの流れの解析を行った.
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