研究概要 |
本研究では,計算機の専門家ではないユーザにソフトウェアの必須条件である良好なGUI (Grahical User Interface)をもつ一般情報処理教育用のプログラミング環境を設計,開発することを目的としている.本環境は,OSなどのシステムを学生に見せない統合環境であり,ビジュアル・プログラミングを採用することで,教育者にも学生にも単純でわかりやすいプログラミング環境を提供する. 平成7年度は,複数の計算機上でビジュアル・プログラミング環境を提供するために,マルチプラットホームのグラフィックライブラリを設計した.このライブラリは,X Window SystemおよびMS Windows 3.1上に実装され,ビジュアル・プログラミング環境以外にも利用してみることによって,汎用性が高いマルチプラットホーム・グラフィックライブラリであることを確認した. 平成8年度は,ビジュアル・プログラミング環境の評価を行なうことを主眼として,MS Windows 3.1, 95上での実装を行なった.本環境では,プログラムの構造を視覚的にとらえやすくするため,プログラムはNSチャートによって表現する.また,データ構造やアルゴリズム等を深く理解させるため,データをオブジェクトという形で画面上に表示し,実行に伴う変化を即座に反映させている.プログラミングは画面上のオブジェクトに対して命令を与えることで行ない,編集作業の大部分をマウス操作で行えるようにして,初心者の苦手なキーボード操作の量を軽減するなど,複雑な操作をユーザに要求しないよう注意して設計を行なっている.また,学習者が将来,汎用のプログラミング環境へ移行していくことを考え,本環境で作成したプログラムをPascalなどの汎用言語に変換して提示する機能も提供する.本環境を高校生のプログラミング学習に利用したアンケートを実施した結果,多くの学習者が興味を持って学習できたとの回答を得られた.
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