研究概要 |
北四国の渇水災害に対する地域防災力の強化法を検討するために,これまでの渇水災害対策の経緯,水文資料の統計解析に基づく水資源開発可能量および水需要の将来予測について研究したが,得られた結果は以下の通りである. 1)北四国の渇水災害とその対策の歴史的変遷 西暦701年に始まる香川県の満濃池の破堤・築堤の繰り返しの歴史を明らかにすることによって,中央政府の援助と農民の多大な努力によって渇水の軽減が図られてきたことが示された.また,吉野川水系の水を流域外に導水したことが北四国の渇水対策として大きな役割を果たしていることを明らかにした. 2)北四国の水文量の統計解析と水資源開発量 南四国に片寄っている年平均降水量の空間分布や四国の一級河川8河川の流出量と利用量を明らかにすることによって,四万十川,仁流川および那賀川には水資源が豊富であるが,肱川,重信川,土器川での新たな水資源開発は望めないことを示した.また,吉野川は流出量は年40.5億m^3もあるが,既に55%が利用されている. 3)北四国の水需要の将来予測 高松市と松山市についてこれまでの水需要の増大と今後の予測量を明らかにした.松山市については1978年に約10万m^3/日の日最大需要量が16年後の1994年には18万m^3/日と約1.8倍となっている.また,約10年後の2006年には23万m^3/日程度となることが予測される. 以上の成果を踏まえて,南北で水資源の水需要の不均衡が著しい四国では,流域外導水によって利水の広域化を図ることが必要であると総括した.
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