研究課題/領域番号 |
07610017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
石川 力山 駒澤大学, 仏教学部, 教授 (10102683)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 抄物資料 / 切紙 / 葬送儀礼 / 修験道 / 授戒 / 不浄 / 中世日本 / 抄物 / 陰陽道 / 得度儀軌 / 授戒会 / 触穢 |
研究概要 |
この研究は、日本中世の禅宗界において多数著わされた禅籍関係の注釈書、すなわち各種の「抄物資料」を用いて、中世禅宗の社会的な活動や修行生活の実態を解明することを目的とする。特に葬送・授戒をはじめとする様々な儀礼や生活習慣等を通して、禅宗は日本の社会の中に確実に定着したが、その内実はどのようなものであったのかを、抄物資料の中でも曹洞宗に特有の「切紙資料」によって明らかにすることを、その第一の課題とした。そこで重要な作業が、基礎資料の収集と分類整理である。このために昨年から継続して行っている、秋田県鷹巣町の綴子八幡神社内館文庫所蔵の、修験道関係の厖大な資料の整理と写真撮影の作業を2回実施し、特に禅宗と関係の深い共通の儀礼や、人生観・他界観に関わる資料を集中的に収集した。さらに、長野県塩尻市長興寺所蔵の中世抄物資料の調査も行い、禅僧達の修行の実際と、彼らによる教化活動を具体的に物語る多数の資料を収集できた。 中国で成立した語録という禅宗文献は、口語体の問答によって思想を追求し表明するところに特色がある。日本の中世に成立した抄物資料類も、同じく日本語の口語体で記録されることを特色とするが、さらに重要なことは、葬送や追善供養のような、極めて日常的な諸儀礼をもその内容として含んでいる点にある。中世宗教史の貴重な文献資料ということである。中世社会は、仏教の説く価値観や諸観念が広く社会の隅々にまで浸透した時代であるが、中世特有の身分観念も固定化する時期で、その形成に仏教の考え方も大いに影響したと考えられる。このような仏教の社会的機能を、禅宗の中国以来の伝統とも関連させながら、抄物資料・切紙資料を用いて解明する見通しも確立できた。また、その成果を平成9年度中に刊行するための作業にも着手した。
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