研究課題/領域番号 |
07610035
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
倫理学
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
古茂田 宏 一橋大学, 社会学部, 教授 (80178376)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | コンディヤック / バ-クリ / 独我論 / モリヌ-クス問題 / 他者 / 視覚と触覚 / モロヌ-クス問題 / 言語 |
研究概要 |
研究計画に則り、とりわけコンディヤックの『人間認識起源論』と『感覚論』に展開された認識論--純粋視覚・純粋触覚世界が魂の「他」なる外部世界を示唆しうるか否かという問題--を、独我論に対する態度の取り方という視点から追跡した。ここでの最も重要な思想史上の論点は、この二つの著作がバ-クリ哲学に対してもつ関係である。『起源論』においてバ-クリにきわめて批判的であったコンディヤックが『感覚論』においてバ-クリ主義に「転向」したというのが従来の定説であるが、本研究は、バ-クリの『視覚新論』とコンデイヤックの両著作の内在的読解をとおして、この定説に対する異論を確保した。すなわち、従来言われるところの『感覚論』へのバ-クリの影響が、バ-クリ哲学の本質(哲学的独我論)にかかわるような水準においては全く見られないこと。むしろ正反対に、『起源論』から『感覚論』への歩みは、いかにして独我論的世界了解から、内在的な感覚主義を捨てることなく魂の外なる世界へと脱出することが可能かを探求した反バ-クリ的な歩みであること。にもかかわらず逆説的なことに、その歩みが他ならぬバ-クリの純粋視覚・触覚論への限りない接近をとおしてはじめて可能になっていること、などである。この研究は、「魂とその外部--コンディヤックの視覚・触覚論によせて」(一橋大学研究年報『人文科学研究』34号平成9年3月)としてまとめられた。 以上はあくまでもモリヌ-クス問題に代表される知覚論上の問題に絞った研究であって、当初の目標であった言語論・意味論上の独我論的危機をめぐる問題や、そこから帰結する倫理学的な意味での他者論にまで踏みこむものとはなっておらず、その意味ではまだ端緒的なものであるが、自我変様の自己意識の内部にそれとは異なる「外部」がいかにして立ち現れるかというこのテーマは、より本質的な他者論への不可欠な基礎をなすと思われる。
|