研究課題/領域番号 |
07610041
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松崎 一平 富山大学, 人文学部, 助教授 (90199779)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アウグスティヌス / 中世キリスト教思想 / 原罪 / アンセルムス / ボエテイウス / 西洋中世哲学 |
研究概要 |
1 後期著作の分析を通してアウグスティヌスの原罪観(=人間観)の完成形態を考察し、それが人間把握においてペシミズムの極みにあり、かつ自己省祭の厳しさに基づくこと、一方でキリスト教の神の人間への愛(救済の意志)に対する絶対的な信頼が彼が原罪論の根底にあることを明らかにした。ボエテイウスには、人間の罪深さの把握はいくらか緩和され、人間理性による神認識の可能性が容認されるようになる。セヴィリアのイシドルス、アルクイヌス、エリウゲナと時代が下るにつれて、基本的にはアウグスティヌスの考えを受け継ぎながらも、ボエテイウスにおいて兆した人間理性の能力的可能性への信頼性は徐々に増大していくと考えられる。アンセルムスにおいては、原罪の本質規定がアウグスティヌスのそれとは微妙に異なり、加えてアウグスティヌスにおいては極めて限定的しか認められていなかった意志の自由性も、人間の内にある意味で肯定的・積極的に見出されるようになる。 2 アウグスティヌスの生きた時代、彼と教養を共通にする人びとは、現世に対して概ね懐疑的で、キリスト教の来世的救済観に厳しく共鳴し、人間の内面の制御しがたさを自覚し明らかにすることに熱心であった。彼は徹底的に時代的であったがゆえに、普遍的なものに触れ得た。アンセルムスも同様である。彼は時代を担う階層の出であり、関わりを持つ人々は、これから社会の中核を構成する活力ある人々であって、彼の人間観=原罪観はこのような人々を念頭に置いていた。西ローマ帝国の衰退期に彼岸を脳裏に置いて生きたアウグスティヌと、中世盛期初頭に此岸の権力と交渉しつつ生きたアンセルムスとは、後者が前者の忠実な弟子と自認していたにしても、重大な差異があり、それは古代地中海世界から西欧中世世界への変質の如何を確実に反映している。原罪観の変遷の背景は、このように説明できる。
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