研究課題/領域番号 |
07610156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 甲子園大学 (1997) 樟蔭女子短期大学 (1995-1996) |
研究代表者 |
金川 智恵 甲子園大学, 人間文化部, 助教授 (70194884)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | identity / 自己概念 / 状況即応的自己概念 / working self-concept / 自己意識 / self-complexity / 日米比較 / identityの統合 / 状況即応的自己意識 / 自己意識の発達 |
研究概要 |
本研究の目的は、「identity defusion」から「identityの統合」へという、Eriksonに代表されるような自我発達の過程に対し、批判的再検討を行い、」自我発達にはその後、再び、「identityの発展的拡散」段階があり、それは、通文化的に認められるのではないかという仮説を検討するものであった。 「自我の発展的拡散」の操作的定義は、即ち、「柔らかい自己」の操作的定義は、「状況に即応して自己概念を変化させる能力」とした。これは基本的には、Markus & Kundaのworking self-concept(1987)に準拠している。詳述すれば、「柔らかい自己」とは、「状況即応的な自己概念の変容は、自我全体を揺るがすものではなく、自己概念が構造化されているが故に、無秩序な変容を起こすのではなく、当該の社会的状況に即した自己概念のある部分が活性化され、それは常に全体の構造との関連を持ちながら進行していく」過程であり、当該事態における適応をもたらす機能を果たすと考える。このような観点から本研究では、「identityの統合」以後も含めた、一貫的な自我発達研究を志向してきた。 最終年度として平成9年度は、この、社会的事態の要請に応じて自己概念を一時的に、かつ、園事態に適応的に活性化させるという現象は、1)基本的には通文化的に見い出されること、2)しかしこの傾向は、自己を社会的文脈との関連で捉える傾向の強い日本の被験者において、顕著に見い出されるであろう、の2点を中心に検討した。 自己概念を測定する方法として、TST(Twenty Statement Test)を用いた。更に、社会的事態の差異を操作するために、本研究では以下の4つの社会的状況を設置した;TSTを1)集団で実施する、2)教師と一対一の対面状態で実施する、3)友人とペアを組み、2人で対面状況で実施、4)被験者一人ずつ実験用のブ-スに入り、一人で実施する、以上である。その結果、この4つの条件により自己概念の記述が変化すること、このことは日本、アメリカ双方の被験者において認められたこと、しかし変化の大きさは、日本においてより顕著であったこと、各社会的事態に適応するように自己記述がなされていた(例:教師と対面状況のときは、将来の希望や動機などを中心とした、教師に高く評価されそうな内容であった)こと、等が見い出された。 本研究の成果の一部は、現在、Markus(Stanford University),Cross(Iowa State University)と共著で、Journal of Personality and Social Psychologyに投稿準備中である。
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