研究概要 |
平成7年度および8年度ともに、7月末から8月はじめの1週間、何らかの問題を抱えた子どもちた(小学生)が、STEP(Systematic training for effective parenting)を用いてサポ-ティヴなかかわりをすることができるように訓練されたスタッフとともに過ごした。合宿経験を通して、自分が抱えている問題(ストレッサー)に対する認知的評価や対処行動がどのように変容するかを、特に内藤(1993a,1993b,1994,1997)によって考案されたPAC分析(Personal attitude construct)を用いて追跡検討した。 その結果、研究成果報告書に示したように、母親がLD(学習障害)かもしれないという男児(小4)は、他の子どもと比較して他の子どもがわかることが自分にはわからないということに気づき、その悩みを抱えていた。その年のゴールデンウィーク以降不登校気味であったが、合宿後の2学期は、いったん登校するようになったものの、12月の風邪による欠席をもとに3学期は完全な不登校となった。しかし、その問題に正面からぶつかることとなり、結果的には一種の障害受容、ないしは、自己受容を果たし、等身大の自分の生き方を見いだした。そして、4月以降、元気に登校している。 その他のケースでも、大半の子どもがストレスフルな状況におかれていて、しかし、子ども自身ではそれを乗り越えることができないほどのストレスであっても、合宿という中でのかかわりを一つの契機として子ども自身が若干の変化を見せ、それを感じた親や教師がその子に対するかかわり方に変化を見せ、本来のサポート関係をつくり出してくれると、子どもは自分の問題としてなんとか乗り越えていく姿を見せてくれると言えよう。そういうことの積み重ねが、ハ-ディネス形成につながっていくであろうと考察された。
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