研究概要 |
ラテンアメリカの女性学の歴史は比較的新しく,1970年代から本格的に始まった。1975年の国際婦人年メキシコ会議は,ラテンアメリカにおいて社会主義の伝統を引く女性解放運動や反独裁政権の運動において培われたフェミニズム運動にはずみをつけた。女性学のなかでも教育に関する研究は遅れている分野のひとつであるが,メキシコ会議以降、各国政府により女性の教育状況に関して研究が進んだ。しかし,これらの研究は、統計的な把握が中心であり、教育プロセスにおけるジェンダー研究は開始されたばかりであり,十分発展しているとは言えない。 ラテンアメリカでは、国連のリーダーシップによる第三世界における開発の問題と不可分に女性教育政策が展開されている。「ジェンダーと開発」の問題は,国際援助受益国としてラテンアメリカの教育政策に影響をおよぼしている。ラテンアメリカで展開されている女性を対象とした教育政策はフォーマル教育,ノンフォーマル教育の分野にわたり,技術・技能訓練や民衆教育まで多種多様であり,その目的も異なり,十分な分析がされていない。本研究報告では,女性を対象とした教育政策の理論的枠組みを形成するための試論として,教育形態と教育目的に沿って,機会均等,差別撤廃,貧困撲滅,効率,エンパワーメント・アプローチの5つの類型化を試み,ニカラグアの女性教育を事例研究として取り上げた。
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