研究概要 |
本研究(副題「地方政府の情報政策と地方立地大学の情報機能」)は,(a)地方立地の旧設・新設・将来設立予定の大学の設立過程を,地方議会の議会人や地方政府の情報政策担当者への調査,地方議会における審議内容の検索・分析などを通じて明らかにし,(b)地方設置大学の立地条件や設置形態の類型化を行い,(c)そこから,地方立地の公立諸大学の目的や役割に関する法則性を導き出して,(d)公立諸大学の管理経営情報および公立諸大学が関わる地域情報の発受信機能をモデル化した。同時に,歴史的社会的な調査研究に政策科学的観点を加重した方法で以て,今や公立諸大学の存立基盤を構成するともいえる地方政府の情報政策である地域高度情報化政策を明らかにした。(e)これら共同研究の成果は印刷媒体で公刊し、さらに、(f)それらの情報を電子媒体化してインターネット等を通じて広く内外に提供する作業が,現在進行中である。研究成果の第1部では,大学誘致と地方立地大学の経営に焦点を当てた。大学の地方立地が加速された原因は,国土理解(開発手法)の変化にともなうものである。地方政府と公立諸大学との先進的な関係および,地方立地大学の特色ある試みを2つの事例で研究した。これらは,今後,地域住民や地方政府が地方立地の大学に期待できる役割を探求する研究を大がかりに始める前提をなすものとなろう。 第2部では,(1)東京都および東日本の道県,(2)西日本の府県、(3)首都圏・京阪神都市圏・名古屋都市圏以外の政令指定都市、の地方政府の情報政策文書を分析した。地方政府の情報政策のビジョンはなにか,地域高度情報化によってどのような社会を創り出そうとしているのか、および地方情報政策における大学の位置づけを明らかにした。東京や大都市との地理的距離および都市化の進展の程度による情報格差への認識の相違がそれに伴う情報政策の相違をもたらすものである。
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