研究概要 |
ヨーロッパ古代・中世文化圏におけるゲルマン諸部族の生成と発展の過程に、どのような定住が行われ、人々はどのような心性を持ったかについての当該の研究によって得られた新たな知見としての成果は、次の通りである。 1.原ゲルマン諸部族の生成と古小村定住の発展の過程に、「営みの火」Lebensfeuerの観念があり、定住者の相互扶助・協力cooperationsの共同態的社会生活das Gemeinschaftliche Lebenが行われた。 2.ゲルマンの死者の埋葬・葬制の実態から、彼らの間に「生きている屍」leben der Leichnamの人間観・精霊観、死者についての保護・恐怖の観念および霊魂の顕現の諸様態が認められる。 3.ゲルマンのとりわけ民衆の四季をめぐる自然観・人間観とその生活について、大自然の「生成の力」natura,die Kraft des naturlichen Wachstumsが木の芽に潜むと信じられ、イ-スターEasterの日に森林から樅Tanne、ドイツトウヒFichte、白樺Birkeの五月柱Maibaumが立てられ、ヨハネ祭Johannisfestの日Johannistag,St.John′s Day,Midsummer Dayに木片・麦稈(藁)に点火され、健康と夏至の太陽の光を強め、豊穰を祈るなど、地域それぞれの生活の営みとそれぞれの文化の広範な伝播・交流がみられた。
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