本研究はこれまでに行われてこなかった画像処理システムを導入した銅鐸のデータベースの構築を行うことを目的とした。本研究期間中、各方面の協力を得て、徹底した銅鐸の所在調査、各々の銅鐸に関する文献・写真検索、写真実測による実測図の作成、そしてそれぞれのデータの入力を行い、画像処理システムを導入した銅鐸のデータベースを構築した。その結果、550件を超すデータを集積することができたとともに、出土地不詳のものや出土地が混乱しているもの、また所在不明のものなど、今まで未確定であった銅鐸の戸籍を整理することができた。この銅鐸データベースは単なる最新の銅鐸出土地名表ではなく、複数銅鐸の画面上での比較研究が可能であり、型式の認定、地域性の把握、同笵関係の認定などにも有効なものとなった。さらに、各型式ごとの時間的・空間的分布状況の把握が容易となったことも大きな成果である。しかし経費と時間の関係から入手し得えなかったデータがまだ相当数存在する。特に、実測図のデータ不足は否めない。これは写真実測にかかる経費が膨大なものとなり、今回の研究費ではそれを行うことができなかったためである。しかし、各方面からの協力によって、わずかではあるがそれを果たすことができた。 今後はこのデータベースを補充・拡充し、銅鐸研究の基礎資料を広く学界に提供するととも自らの新しい銅鐸研究に役立てていきたい。
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