研究課題/領域番号 |
07610459
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丹治 愛 東京大学, 教養学部, 助教授 (90133686)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ダ-ウィニズム / 退化 / 優生学 / 反ユダヤ主義 / 世紀末 |
研究概要 |
ダ-ウィニズムと退化の思想の歴史的関連を明らかにしようとする本研究は、レイ・ランケスターの『退化-ーダーウィニズムの一章』(1880)をはじめとする19世紀末の退化関連の多数の第一次資料を、複写により収集することに努力し、かなりの成果をあげることができた。また同時に、退化の不安が生み出した優生学についても、多数の第一次資料を集めることができた。さらにダ-ウィンのテクストをはじめとする50以上にのぼる19世紀後半の歴史的・思想的・文学的テクストを、コンピュータの活用により電子化されたかたちで蓄積することにより、キーワード検索のシステムを確立することができた。これは今後の研究上測りしれない恩恵をもたらしてくれるはずである。 以上のような資料収集を行なったうえで、ダ-ウィンの思想が直線的前進的な進化のオプティミズムだけではなく、退化のペシミスティックな可能性をも同時に呈示し、それが国家レヴェルでの優生学的関心をひきおこしていたという命題を明らかにするために、その一例として世紀末からナチズムにいたる反ユダヤ主義の流れを、世紀末の総合雑誌とヒトラーの『わが闘争』を読み比べることによって概観した。その成果が「ダ-ウィニズム、優生学、反ユダヤ主義--イギリス世紀末からナチズムへ」(1996年5月の日本英文学会全国大会のシンポジウムにて口頭発表の予定)である。 今後は、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』(1897)をはじめとする世紀末の文学的テクストを、同時代の社会史的・思想史的テクストとのインターテクスト的関連のなかで新歴史主義的に解釈しながら、退化の思想が世紀末文学にいかに広範な影響力をおよぼしていたかを具体的に論証したいと思う。
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