研究課題/領域番号 |
07620006
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神保 文夫 名古屋大学, 法学部, 教授 (20162828)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 江戸幕府法 / 民事訴訟 / 出入筋 / 本公事 / 金公事 / 借金銀 / 売掛金 / 切金 |
研究概要 |
この研究は、江戸時代前期の幕府法・藩法を比較検討することによって幕藩体制国家成立期の法構造とその特質を解明することを目的とし、そのための方法として、第一に各地の図書館・史料館に加蔵されている未公刊の幕藩法制史料を採訪調査すること、第二に備後岡山藩の法制史料(マイクロフィルム)を主要設備として購入し、これらを主たる検討の対象とすることを当初計画した。しかるに第一の点に関しては、国立公文書館・国立国会図書館・国文学研究資料館史料館・京都府立総合資料館・京都大学法学部等を調査して史料蒐集に努め、一定程度所期の目的を達成することができたと考えるが、第二の点に関しては、交付された研究費補助金では一部(「法制」分野64リ-ルのうち42リ-ル分)しか購入することができず、結果的に岡山藩の法制史料全体に亘る検討は将来の課題とせざるを得なかった。そこで具体的な研究対象としては、従来ほとんど明らかにされていないこの時期の幕府の民事裁判制度における「本公事」・「金公事」という両訴訟手続(ないし債権関係)の分化の過程を検討し、両概念の成立事情とその意義を考察することにより、江戸時代前期の法構造とその特質を解明する手がかりを得ることとした。その結果、「本公事」概念の形成は「金公事」概念の成立を前提とするものであったこと、また「本公事」が「通常民事訴訟」であるのに対して「金公事」は「特別民事訴訟」であると一般に考えられているが、行政的性格が強いとされる江戸時代の裁判にあって、実はむしろ「金公事」こそが近代的な民事訴訟へと発展していくべき可能性を有するものであったことなどを明らかにした。以上の研究成果は、論文「江戸幕府出入筋の裁判における本公事・金公事の分化について」として『法制史研究』45号(平成8年3月刊)に発表し、またその骨子を法制史学会第47回総会(東北大学、平成7年5月14日)で報告した。
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