研究概要 |
本研究では、まず昨年度金利の期間構造分析のための1ファクター連続時間モデルを離散時間に書き直す新しい方法を考案し、それを拙著「On the discrete Ito formula and one factor interest rate models」(Unpublished)に発表した。これによりこれまで連続時間のフレイムワークで考えられてきた構造変化問題のいくつかの結果を離散時間の中に持ち込める。一方離散化を達成するために必要ないくつかの技術的な問題は「金利の期間構造決定モデル」(1996年)一橋大学研究年報、経済学研究第37巻、及び「金利の期間構造決定モデルII」(1996年)成城大学経済研究所研究年報第9号で論ぜられている。 さて、本研究の目的である分散の変化時点に関する検定と,もしも分散の変化が認められた場合には新しい分散値の推定を正確,かつ効率的に行う方法に関する研究については上記「On the discrete Ito formula and one factor interest rate models」に関連して正規分布の分散の大きさについての逐次的ベイズ検定を行うべきであるとの結果を昨年夏に得た。それは、バックワード帰納法による正確な解と、正規近似による解とを比較することにより分散変化発見問題を平均変化問題へと帰着できるとの予想のもとに現在この問題に取り組んでいる。今年度の終わりまでに出来上がったところは、検定統計量の正確な形と分布であり、現在バックワード帰納法の数値計算プログラムをハーバード大学のチャーノフ教授と共同で開発中である。本研究のCUSUM検定に関わる、これまでの結果の一部は添付の報告書にまとめてある。
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