研究概要 |
本研究の目的は、現行変動相場制の改革に関する議論に資するため、変動相場制に代わる為替制度を分析するためには、歴史を遡る以外に方法はないという認識に基づき、戦前期を中心とする過去の日本における為替制度に関する文献、データを整備し、計量的手法を用いた予備的分析を行うことであった。過去3年間にわたり、研究代表者は精力的に文献の収集につとめ、可能な限りデータ分析を行い、第二次世界大戦前後の2つの期間における日本の為替制度に関する論文を2本("Japan's Exchange Rate Policy during the Interwar Period";“Japan's Restrictive System of Trade and Payments:Operation,Effectiveness,and Liberalization,1950-1964")執筆した。終戦直後期については、為替管理の効果を定量化することによって、為替管理の自由化とともに国際収支の調整手段としての為替管理の有効性が低下したことが示された。開戦直前期に関しては月次データを参照しながら、膨大な文献をまとめることが研究の主体となった。というのも、より頻度の高いデータを取得するためにはマイクロ資料が必要であり、その購入のために本研究に配分された交付金が不十分であることが判明したからである。研究代表者は所属研究機関と1年目から交渉を始め、3年目にしてやっとマイクロ資料の購入を認めてもらったが、残念ながら、マイクロ資料に基づく分析を終了させることはできなかった。近い将来に完成が見込まれる。
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