研究課題/領域番号 |
07630087
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲富 信博 九州大学, 経済学部, 助教授 (70148740)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1995年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | イギリス資本市場 / 国際投資 / 裁定取引 / ロンドン証券取引所 |
研究概要 |
本研究の目的は、1815年以後のイギリス資本市場における国際投資ネット・ワークの形成を、ロンドン証券取引所会員が裁定取引のために形成した提携関係の観点から分析することであった。以下の新たな事実が得られた。 第一に、ネット・ワークの形成は、2つの局面に分けられる。 (1)1850年代以前:国際証券の量は少なく、通信技術の未整備により、裁定取引の拡大の余地は限られていた。また、海外証券投資の変動が激しいため、海外証券売買を専門とする会員も少なかった。 (2)1850年代以降:国際証券の量は大規模に増加し、政府債、鉄道証券、鉱山株、巨大産業会社株が主要金融センターに共通して上場された。また、国際的電信網が1850年代から次第に普及するにつれ、裁定取引は増大し、その結果、国際証券の主要市場間の価格乖離もきわめて狭まった。 第二に、裁定業務の複雑性が増大し、また費用も時間もかかることから、裁定業務に従事した会員商会は87商会と少なかった。その数は、20世紀初頭でロンドン証券取引所の全商会の10%強であった。そのうち、10社以上現地商会と裁定取引のための提携関係をもった商会はわずか7社で、他方42社が1社との関係しかもたなかった。しかし、1社とだけの提携関係しかもたなかった商会でも、その地域において活発な裁定業務を営んでいるケースもある。提携関係は、欧州、ロンドン、北米の大金融センターを中心としたものが多く、グローバルな関係は少なかった。また、豪州と南アとの提携はかなりの規模を有し、前者では政府債や鉱山会社株式、後者では金鉱山会社株式が裁定取引の中心を占めた。
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