研究概要 |
本研究は,非営利組織に関する経営論にヒントを得て,二つの基軸概念(意思決定とリーダーシップ)により,わが国の大学図書館の経営の実態を調査し,考察を加えたものである。 調査手法は,組織を制度側面からみる静態的な把握ではなく,問題探索的に取り組むために,図書館長と事務(部)長などの管理者に面談し,図書館経営の経験や考え方を聞き出すフィールド・ワークを基本とし,それとともに客観的なデータが得やすいアンケート・サーベイを実施した。 その結果,大学図書館の組織運営を把握するには,業務体系としての組織機構からみるよりも,種々の要素が集まって全体を構成するというシステム論的な観点が有効なことを確認した。また,このフィールド・ワークを踏まえて設計したアンケート・サーベイ(国立大学については全部,また公私立大学については35%の層化無作為抽出標本,合計262大学を対象とし,全体で約76%の大学から回答を得た)により,意思決定に関わる判断基準や,リーダーシップのあり方などデータを得ることができた。それらの個々の結果を取り上げるとともに,それに関する考察を報告書として取りまとめた。 報告書の構成は,次のとおりである。 1.大学図書館に関する組織経営の問題,2.大学図書館の訪問調査(17大学のとりまとめ),3.新しい組織経営論の枠組みの設定,4.アンケート・サーベイの結果報告(その1:図書館長),5.アンケート・サーベイの結果報告(その2:事務(部)長),6.アンケート調査のまとめと,今後の研究展開
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