研究概要 |
本研究の目的は、現代の企業が直面している停滞や衰退の問題に焦点をあて、そのメカニズムを解明することによって、衰退類型に対応した再生化のための戦略的方策を提示することである。 そのため、1,文献の検討を通じた衰退の原因、メカニズムに関する仮説の検討、2,実際に衰退し倒産した企業の資料によるアルトマン・モデルおよびザブグレン・モデル(倒産予測モデル)の適用、3,それらのモデルの理論的妥当性の検証、4,わが国上場企業を対象にしたアンケート調査の実施、5,アンケート調査をもとにした衰退類型の分類、6,ザブグレン・モデルと衰退類型との整合性の検討、7,衰退類型に対応した再生化のための戦略的方策の提示、の手順を踏んで研究を進めてきた。 アンケート調査は、わが国上場企業(金融・保険を除く、店頭企業を含む)1988社を対象にして、企業の概況、沿革、業績、販売先、経営理念、経営戦略、事業認識、経営者、組織に関する160項目の調査票を送付し、212社から回答を得た。アンケート調査と並行して、再生に成功した企業を訪問して衰退の要因を調査し、その問題をさらに鮮明にするためにベンチャー企業を訪問して成長要因を調査した。 これらのインタビュー調査を参考にして、アンケート調査項目間のクロス集計、倒産確率の算出、倒産確率と経営要因との関連の分析、環境状況と自社状況に基づいた衰退類型の導出などの分析を加え、衰退類型に対応した再生化のための戦略的方策を提示できたと考えている。 なお、アンケート調査の基礎的な集計結果は、資料「企業の衰退メカニズムの分析と再生化のための戦略」に関する調査(京都産業大学『経済・経営論叢』31巻3号、平成8年12月)として公表した。
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